9困惑の授業序盤(朝月)


何だか訳の分からないモノが空から降りてきた。
ヘリで。
ヘリコプターで。
あれ?
ヘリコプターって何だったっけ?


〔ヘリコプター(helicopter) 
  上向きになったプロペラの回転により上昇する航空機。垂直離陸着・空中停止ができ〕るものかあそうかあ。
何でへりこぷたーが阿賀紗学園の校庭に降りてくるのかなあ。(混乱中)


目の前で水林2が水林を抱きしめたら、さらに水林3がヘリから出てきて、
水林3は水林に蹴られて……あーもう面倒臭い。
分かりにくいなあ全く。
まぁ、そう云うことはどうでも良い。本当に。問題は、


W水林が水林と同じ性格か、と云うことだ。
同じでは無かったら万万歳だが、同じだったらうっとおしいことこの上ない。
僕は恐る恐る一応確かめてみる。
「あ…そこの水林2と水林3さん達、少しこちらに来てくれますか。
うん、水林は来なくて良いよ。君一応バスケの試合中だよね?」
「水林弥夜です!」
「水林…弥勒です…」
「えーと…あなた達はいつまでここにいるんですか?」
「授業参観が終わったら学校からは消えますけど…?」
「え!?私そんな事聞いてないよ!」
「え!?」
水林2と水林3が仲間割れした。
どうやら話し合いを全くしていなかったらしい。

暇だからバスケの試合を観戦することにした。
バスケの何が面白いのだろうか。
知らない人たちの試合。ボールの奪い合い。ボールを拾って籠に入れる。
まあ、水林は知り合いなのだからそちらのチームを応援すべきなのだろうけど。
水林はボールを手に入れ易々と運び、籠にいれる。
どうやら運動は得意らしい。
シュートが綺麗に決まった。
素晴らしい。
運動神経が良いのは良いことだ。

W水林の方に目を移した。
仲直りした様で、双方仲良く試合を見ている。
推定水林2が水林と同じ性格のようだ。
うん、帰って欲しいなぁ。

水林がもう一度シュートを決めた様で、わあっと歓声があがる。
あ、気づかなかったけど生徒会長がいる。
騒がしい人だ。工藤がもの凄く嫌そうな顔をしている。
てか、今気づいたけど、
何で皆親が授業参観に来ないんだろうか。
うーむ、謎だ。

「ピーーーーーーーーーッ!」
ホイッスルが鳴った。
どうやらバスケの試合が終わったらしい。
水林がこちらに飛んで来た。

「はぅぅ、王子様!私の大活躍見てましたか!?」
「何回も云う様だけど僕は王子様じゃなくて朝月峰という一般庶民だから。
君の活躍については…まあ、素晴らしいと云っておこう」
運動能力が高いと云うことは良いことだから。
羨ましいくらいだ。いらないけど。
そう云った瞬間、水林がおかしくなった。

「お、王子様に誉められたのです!くぁwせdrfdふじこdぐshgrgtjh」
水林2、水林3が驚いていた。
僕には関わりのないことだ。放っておこう。

帰ろうとして歩み出すと、足元で「パリッ」と音がした。
足元を見ると、薄黄色の欠片が大量に落ちていた。
「柏原……体育館って飲食禁止だよな」
そう言い残して僕は体育館を出た。
暇だから図書館にでも行くかな。
きちんと見に来たんだから、何も文句は無いはずだ。



僕はそんなことを考えながら、悠々と渡り廊下を歩いた。



back  menu  next

家具

テンプレート