5壊れかけた授業序盤(朝月)

「えーそれではー………」
毎年恒例今日だけはなぜかやる気のある先生の授業が始まった。
今日は数学1だ。


休み時間からわやわや騒がしかったが親が来るからと云って何だと云うのだろう。
あぁ、そういえばさっき誰かが廊下を走り抜けて云ったな……誰かの父親だろうか。男だったし。


授業も聞かずにぼんやりしていると、後の会話が聞こえてきた。
「…先輩、今私の顔がにやけてると思ったでしょう?」
「あぁ、何故だ?」
「はぅぅ……顔にかいてあるのです!そして私は顔がにやけてるんじゃありません!目がハートなだけです!」


それを普通“にやけてる”と云うんじゃないだろうか。




まぁ、それはさておき「どうしてお前ここに居るんだ……?」
「はぅぅ、そこらを考えてはいけないのです!」


――1年生の教室―――――――――――――――――
「水林は何処に行った?」
「先生!本人は保健室に行くとか言ってましたーーー」
―――――――――――――――――――――――――

……まぁ、これで視線がさっきからビシバシ刺さる理由が分かった。
そして視線の主も分かった。
だけどそれを僕にどうしろと云うんだろうか。

あ、柊が先生に当たった。
あ、何か後ろで誰かが旗振ってる。
あ、柊が殴りかかろうとしているのを周りが必死で止めてる。
あ、先生の顔に青筋がぴくぴく動いている。


先生が口を開いた。
「お前らいい加減にーー「バン!」


ドアが凄い勢いで開いた。
そこにはー
「峰〜可愛い綺麗な賢いお姉様が来たわよ〜♪」
姉だった。
何故。
僕は机に突っ伏した。
・・・もう駄目だ。

この授業参観は破綻する。






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