2「本は読んだら元あった場所に戻しましょう」(工藤)


「それじゃあなくなった本は、
水林の愛読書の『現代のシンデレラー王子さまをゲットする方法ー』
工藤の愛読書の『黒魔術で人々の心を奪うーそして私は大統領になったー』
柊の愛読書の『柊語を日本に広めるための1億4005章』
柏原の愛読書の『ポテチ図鑑』
僕の愛読書の『夏と冬の狂騒曲』の5冊か」


しかし皆まともな本をよんでいない。
てか図鑑て愛読書にいれていいのか。


工藤が何処からかホワイトボードを引っ張ってきて、無くなった本・題名を書きはじめた。
一体、何処から持ってきたんだ。
最近工藤が分からない。
そこに柊が帰ってきた。


「にょにょっ!柏原を連れて来たのだ!」
「何処に!?」


よく見るとエイリアンの右手にはしっかりとビンが握られてた。
「柏原 in theビンなのだ。」


工藤が振り向いた。
凄く嬉しそうな笑顔で振り向いた。
目が光っている。
そして。

「なーんでーやねーん。」
ピコーン「にょー」
なんだか工藤の突っ込みを久しぶりに見た気がする。


まあ。
何はともあれ。
柏原は生き返った。
だが。


「ポテチ……ポテチポテチ。俺のポテチ。」
「いやなくなったのはポテチ図鑑ですから」


工藤の的確な突っ込みも効かず。
柏原は図書室の隅に座って泣いている。
いや、すすり泣いている。
隅ですすり泣くとか、お前は幽霊なのか。
男の幽霊が泣いてもあまり怖くはないんだが。
しかも床の上に「の」ではなく「ポテチ」と書いている。
よし、この際放っておこう。


「それで……?どうしようか。」
「取り返しましょう」
「どうやって」
「にょ!力づくでというやつなのだな!」


どうやら皆本のこととなると我を忘れるらしい。
うん、愛読書なら買えば良いのに。


「まあ図書館の本だからね、返してもらわなければならないよね。」
「はぅぅっ、犯人をとっちめてやるのです!」


と云う訳で。
犯人探しと相成りました。


「まずは3年生は除外されるね。」
「まあ、私たちには関係ないですからね。」
「はうっ、犯人は1年生か2年生と云うことですねっ!」
「じゃあ各自自分の学年の人にこの本を知らないか聞いてみること。
結果はまた明日此処に集まって発表しよう。」
「何だ、それだけなのですか」
工藤がボソッと呟いた。
待て工藤、君は一体何を企んでいたんだ。
「にょー?聞き込み調査開始、なのだな!」
おぉ、エイリアンが『聞き込み調査』と云う言葉を知っていた。


図書組、解散。





「おーい柏原―」
「ポテチポテチポテチポテポテポテポポポポポポポポポ……」
柏原は壊れてしまった様なので、
僕は片手でそっとドアを閉めた。





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