9誰でしたっけ?(工藤)
さあ鬼ごっこは3分の1がすみました。
こちらは敵陣(生徒会室)に1人でつっこむ周です。
私って文系なんですけど、こんなにたくさんの人から逃げれるってことは、
やっぱりこの世で一番強いのは「執着心」なんですね。
今の世の中『羞○心』とかいう言葉がはやってますけど。
昔から一番強いのは敵意……つまりは負のオーラなんですっ。
と思っていましたら、生徒会室に到着っ。
「工藤妹、覚悟っ。」
いや、先輩方、あみを持ってるって反則でしょうに。
「本当はこんなことしたくないんだが、悪魔会長の命令だ。」
生徒会の方々はハツのパシリなんです。あわれ……。
けれど、此処で捕まる私ではありません。
もちろん走るつもりもないですけど。
「先輩方。どうしてこんなことをしなくてはならないのでしょうか。
普段からパシリにつかわれる先輩がどうしてこんな意味のないお遊びに
つきあわなくてはならないんでしょう。」
ハイ、声一オクターブ高く、上目づかいです。
「妹……」
「先輩方はこんなにも素晴らしいのに。こまのようにあつかわれて、パシられて。
そんな才能の無駄遣いをしてはいけません。
今この時にも迷子の子や他校生が迷っているかもしれないんです。
先輩方にしか助けられません。先輩っ。どうか自分の価値に気付いて下さい。」
「自分の価値……。」
「はい、今こそ、ハツの悪魔から解き放たれるんです。そして自分の価値をっ。」
無言になった先輩たち。そしてバタバタと網を置いて去って行きました。
チョロイ、チョロイです。
どうしてこんな意味不明なことばで自分の役目を捨てるんでしょうか。
私ならこんなのパシリにだっていりません。
「あっ、周。」
横から声がしたと思ったら覚えのある顔。
「誰でしたっけ。」