2『タダで作れる料理!必見!』(水林)




IN図書室。 「えぇぇえぇ!?お、王子様達修学旅行に行かれるのですかぁっ!?」
「うん、そうだよ。中2は行けないね。」
キラキラキラ、と清々しい笑顔を向けてくる王子様。

「あぅあぅ……王子様。そんな『少しの間だけだけど水林と離れるのはさびしいよ……でも、僕たちは運命の赤い糸でつながれているから大丈夫さ☆』みたいな素晴らしくかっこいい笑顔を向けられたら…私もう……(ポー)」
「うん、中2は行けないね。」
「あぅあぅ〜……」
あぅ、行けないなんて、悲しいのですぅ……。
「周先パイ、どうにか(黒魔術で)できませんか?」
「流石に無理だと思います。」
「あぅ〜!」
こ……これが年の差の恋愛の難しい所なのですね……!

「オレは引率に行くぞ!」
「図書室では静かにして下さいね行灯先生。」

ニッコリと、司書……いえ、魔王♪先生がズゴゴゴと音が聞こえそうな笑みで紅葉先生を、やさしぃく、間髪いれず注意なされました。

勢いよく開けた戸を、先生はひきつり笑いで小さな声で「すいません……」といい、ゆっくり音をたてずしめていました。
「………紅葉…………バカだね☆」
「ぐぁぁその顔スゲェムカつく!死ね!」
小声でユキトーと先生が喧嘩しています。仲良いですねー。
「で、何なのさ。」
「フッフッフッ……オレは一応美術教師だからな………寺とかでもいいし、東京で美術館行って勉強とか……」
「本音は何ですか?」
「引率の先生は旅費無料だからだ!」
………。
………。
「うわぁ、先生としてあるまじき言い分……。」
「うっせぇ!仕方ねぇだろう金がねぇんだ!」
うわぁ、私はこんなセリフ言うことこれまでもこれからもないでしょうね……
図書組の皆さんが、27℃くらいの生暖かい目で(ユキトーは−300℃位で)みつめていました。
血の叫びの様な事を小声で叫んで、奥にひっこんでいきました。
やなぎ先パイとのぞくと、『タダで作れる料理!必見!』という本を読んでいました。
「し、真剣なのだ……行灯も大変なのだ……」
「え、えぇ……」
「今ボクはあの人と血縁関係にあることを恨むよ……」


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