6午後のIANNin舞台裏




ハッ、ハロー。こちらイアンです。
ただ今僕は舞台上。シンデレラの華々しい舞踏会にございます。
あれっ、僕のいる場所が分からない?
そりゃそうだよ。だって舞台上だから。
上だから。天井だからね。


あっ、シンデレラの馬車が見えてきたっ。
いきますよ、皆さん。僕の出番まで5・4・3・2・1.


ゴーン。ゴーンんんんんんんんん〜んん。」

やりました!やりましてよ皆さん。
11時をつげる鐘の声。これを合図にシンデレラは舞踏会へ。
ベスト・タイミングでしたよ!

はぁ、達成感。誰ですか『富の逆説』なんて言った人。
僕はこんなささいな役にも心から満足していますよ。
僕みたいな人がいる限り、この世から“よろこび”は消えません。
“よろこび”はいかに便利な世になろうとその人の心次第で永遠に感じられるものです。


あっ、作者ネタはここまでで劇を見ましょう。劇を。


「ねぇっ、あの料理って食べちゃダメ?」
「会長、劇の最中なんですよ。」
「えー、別にいいじゃん。」 「駄目です。あぁ、会長声がもれますっ。」

もれてるよー、もう。
うわー、あんな王子やだ。

「会長っ、副会長が来ましたよ。」
「あれ、本当だ。じゃあ行こうか。どっこらせっ。」

王子様……名詞。イスから立つのにいちいち“どっこらせ”などとは言わない人種。
     決して言わない人種。大事なことなので2度言いました。



「あぁっ、魔法使いさんのおかげでここまで来れましたが(別に私だけでもよかったけど)私は不相応ではないでしょうか。
こんな輝いた場所になんて本当に私がいてもいいのでしょうか。」
「そこのお嬢さん。名前を聞いてもいいかな。」
「おっ、王子様っ!!私など名乗るほどの者ではありません。
王子様……なんて麗しい。」


ハツって本当に恋してるんだね。
目がハートになってる。うん、気持ち悪い。
(本日、イアン君疲労中の為、毒舌度絶賛UP中です。)


「で、ところでお嬢さん。“シンデレラ”という名の子を知らないかい?」
んっ?んん?
「それは……私です。何故私の名前を。」
「そんなっ!!」
んんん?んんんん?
「なんでうなギーじゃないの?」
んんんんんんん?
「なっ、何故うなギーなのですっ。
王子様っ、シンデレラは私です。あなたと結ばれるのは私なのですっ。」
劇が……劇が。
「そんな!認めないよそんな事。だって朝うなギーのドレスがあったもんっ。
赤と白のあったもん。作りかけだったけど僕作ったもん。」
「わっ、私だって認めません。私がシンデレラなんです。
コイごときには奪われたくありませんっ。こっ、光矢さんも認めてくださったじゃないんですかっ。」

憐れハツ。もう涙声だよ。

「僕は、僕が王子であることを認めたんだよ。
君ガシンデレラであることじゃない。やっぱり思ったんだ。
僕の姫はうなギーだけだ。それは何があっても揺らぐことはないよ。」

黒天だっ。黒天の“黒”が降臨したぞ。

「衛兵たちっ。君達に真に僕への忠誠があるというのならば僕の姫を連れておいで。
この劇の主役は彼女にこそふさわしい。」
「ひっ、ひどい。
私は本当にうれしかったのに。光矢さんとのシンデレラ。
ぐすっ……光矢さんの 馬鹿っ。」

うわ、この劇どうなるんだよ。
ってか黒天強。魔王をも打ち破ったぞ!
しかも、ハツマジで帰っちゃったんですけど。
12時の鐘僕が言ってから走るはずの階段かけおりたんですけど。
僕の出番っ。



「あぁー、こうして王子様に見事なまでに振られたシンデレラは逃げかえるのでした。
あぁ、なんてなさけないんのでしょうハツ。
分かります?日ごろの行いでしてよ?
ふっ、これにこりたらいかがでして。
それにしてもふふっ、無様でしてね。」



周―!?何、君ここぞとばかりにストレス発散してるの?
ってかナレーターズルイいけないんだぞ。


「ってことで僕とうなギーの愛は永遠なんだよ。」

それが幕が(強制的に)下ろされる前の最後の言葉でした。

とりあえず、ここまでしまりの悪いシンデレラは初でした。




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