7人生で負けたと思った瞬間〜雪羽蓬ちゃんの場合〜



「なんていうか……」
「いうか?」
「負けたなって思った。」
人生15.5年生きていて、彼氏に裁縫で負けることがあるとは思わなかったよ。


雪羽蓬。15歳。普通に生まれ平凡に過ごしてきた私だが、
つい先日『告白』というものをし、見事『彼氏いない歴15年』と『平凡歴15年』に終止符を打った。
なにしろ彼氏がエイリアン(本人曰くnot宇宙人)なのだ。
これでは平凡とはいってられない。
でも、後悔はまったくしていない。むしろ今現在幸福の真っ最中と言い切れる。

で、この彼氏……柊松乃というのだが……は、裁縫・料理、その他様々なものを得意としている。
でもまさかドレスまで作れるとは思わなかったというのが本音だ。
これには負けたと思った。


「そりゃ人生18年間の中で最高傑作だし。俺頑張ったよ。」
「いや、人生18年間の中でドレス作ることになる人自体そうはいないと思うよ。」
「大丈夫!人生15年間の中で人外が恋人ってほうが希少価値あるから!」

そういいながらまだカタカタとミシンを動かしている松乃さん。
ハンガーにかかっているのは私の分、机の上にもう1着(タキシード)。
さらに作っているもう1着。一体何着作る気………いや作らされる気だろう。

「松乃さんさぁ、一体何着作る予定なの?」
「5着。俺の劇の分、ダンスの分、蓬、やなぎ、橘さんで5着。そのうち2着は指定付き。」
「指定って……。」
『ダンスパーティーで(橘・やなぎちゃん)にできるだけ攻撃しやすい服を』と。」
「………。」


あの2人はダンスパーティーを何だと思っているのだろう。
ダンスパーティー=舞踏会=武闘会ぐらいに思っている気がする。
っていうか絶対そうだ。


それにしてもエイリアンといえど、なんでこうも個人差があるのだろう。
本当に松乃さんに生活に困らない程度の常識があってよかったと思う。
やなぎちゃんに至っては、友達とボケとボケの応酬(notボケとツッコミ)であるからして常識の度合いはある意味の方向ですごい。


まぁ、とりあえず。


ダ・ン・ス・踊・れ・な・い


という問題を後数日で解決しないといけないという方が先だろう。




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『松乃さん、ダンスって数日で踊れるようになるかなぁ?』
『大丈夫、99%の根性と1%の何かがあれば踊れるようになる。』
『努力じゃなくて根性ですか。』
『Byやなぎだ。』




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