7〜花より団子〜『花見という名の宴会』スタート!(朝月)


そんなこんなで花見本番。


この前死体が2体晒されていた桜の近の下は、今。お祭り状態にある。
……お祭り状態である。
……だって何で桜の木の下に“ちょうちん”が掛ってるんだ。


この学校は理事長の道楽で桜が多い。
矢鱈滅鱈おおい。しかも密集している。
図書組+α(5人)は今ここで花見をしている。らしい。


いやでも。


誰も花見てないし。


ていうか何だ。“花見という名の宴会”にしか見えないのは僕の気のせいだろうか。
柏原は隅の方でもしゃもしゃとポテチを1人で食べている。


佐伯さんと水林は楽しそうに語り合っている。
しかし顔赤いけど、その飲んでいる液体お酒じゃないよな……。


エイリアン兄妹は……あ、今兄が妹に吹っ飛ばされた。


生徒会長は眠そうにボーーーっとしているし、
元生徒会長(ハツ様)は生徒会長の隣に座ってガン飛ばしてるし(特に工藤に)
工藤は工藤でイアン君をこきつかってるし(「あのおかずを持ってきて頂戴、イアン」)
イアン君は泣きそうだし


……カオスだ。


水林がこちらにふらふらと近づいてきた。
「王子様―――何で私服じゃないんですかーーー。」
え。いや、
「此処は学校の敷地内だからだけど、制服ってのは学校に着てくるものだよ」


水林は不満そうに口をとがらせた。
「えーだって今日は休日ですよー?はぅー、せっかく王子様の私服が見られると思ったのにー……。
 残念なのですよーー」


王子様の私服……
一瞬裸の王様が頭の中で手を振った。
やあ寒そうだね。君は頭まで春真っ盛りか。


現実に戻ろう。
にしてもさっきから水林がやけにふらふらしている。
口調もおかしいし、目もトロンとしている。顔も赤い。
…………こんな症状を保健の教科書で見たような気がするなあ。


水林をその場に残して、さっき2人が飲んでいたものを見る。
カルピスのびんに入っていたが、少しなめてみると明らかにカルピスではない。
………うん。いくら祭りでもさあ。


……お酒はマズいよ。お酒は。


……誰だよ持ってきたの。


ここ未成年者しかいないはずなんだけどなーおかしいなー……


後ろを見ると水林は酔い潰れたらしく眠っていた。
佐伯さんも柏原に寄り掛かるようにして寝……ん、あれ桜だ。
凄いな柏原。変わり身の術か(違


しかしふと周りを見たら起きているのは僕と柏原とイアン君だけである。
(白い人は吹っ飛ばされて飛ばされたままだ。)


……うわあ微妙な3人が生き残ってる。


イアン君と目が合った。


「………。」
「………」


静まり返った宴会場花見場所にポテチをかじる音だけが響く。


「…どうしようか。」
「………どうしましょうか…。」


困った。
僕とイアン君は顔を見合せて大きな溜め息を吐いた。



back  menu  next

家具

テンプレート