1イアン君の優雅?な休日


私がハツにもらったリストを調べあげてる間に、
みなさんは事件を解決してしまったようで……ということで休日編です。




休日……僕にとっての地獄だ。
何故って。簡単さ。うん。
工藤姉妹が家で勝手にくつろいでるからだよ。(*朝8時です。)
僕が起きるより早くこの家にいる。
そしてお母さんとハーブティーでリラックスしているんだ。


「えっ。だって可愛いじゃない、周ちゃんも初音ちゃんも。」
笑顔で返事を返して下さったのは我が母君。
人の心も簡単に読んでしまうから恐ろしい。
テストの点数も目を見た瞬間に『バレル→雷→ヘコむ→凹む(実際に)』


「やだ、おば様ったら。可愛いだなんて。」
ここでいっておかねばならないことがある。
この3人の地位関係である。
good-better-bestの変化のように、悪魔(周)→魔女(ハツ)→大魔王(僕の母)であるんだな。
つまり周もこの家じゃそんなに怖くないってわけなんだ。


「イアーン。ぼっとしているのでしたらハリセンみがいてくださーい。」
僕の手の中に入ってきた真っ白なハリセン。
折ってやろうかなと思ったらにらまれた。


「周ちゃん、イアンってどういう意味?」
まどきりえない(N)−みんぐな(N)まえですよ。」
「まあ、周ちゃん。『かげがうすい』より呼びやすいわね。」
「ところでおば様。パッシーの本名ってなんでしたっけ?」
「あっ。息子なんだけど……うぅんとね。分かんないわ。」


うぅんとね。
何も聞こえなかったことにしますよ。
ねっ、名前なんてきっと重要じゃないんだ。重要だけど……。
もうなれちゃったしね。
けど、昔からこんなわけじゃなかったんだ。
だから、僕は現実逃避して思い出に浸ろうと思う。
………ハリセン磨きしながら。





〜周7才。イアン7才〜

「あまねちゃ〜ん。おはよう。」
「おはよう。薄くん。」

そう、この日は7月7日の七夕だった。
まだ、僕の心のオアシスだった周。
今じゃまったく興味がないのです、髪にといわんばかりにボサボサな髪も綺麗に結っていたし。


「あのね、今日はね。『銀河鉄○の○』を読むの。」
とか、読んだ本を笑顔で教えてくれたりと、まあ可愛かったんだよな。
コンプレックスだった名前も。
「ハクって名前好きだよ。私は。」
って今じゃ考えらんない一言を。
(ハク?誰の名前でしたっけ?なんて今は言われるんだろな。いや……もっとひどいか?)

それとか手をつないでも
「あったかいですね。」
とか普通に言ってくれたし。
(やめて下さい、影ウスオーラがうつります。気持ち悪いです、不愉快です。近づかないで。
あっ。今ならそう言われるよな。)

ともかくそんな幼い周に淡き恋心を持っていたのも事実で。
けど……さめたんだよなぁ、この日。





―七夕 短冊―


「ハクくん。できましたか?」
「うん。周ちゃんと一緒にいれますようにっ。」
「そうですね。一緒ですね。」


短冊を見せた僕の心は……甘かったよな。


「私はですね。魔術師になりたいんです。」
「まほうつかい?」
「はいっ。」
「お○魔女ド○ミとかの?」
「いいえ、黒魔術師ですっ。」


そう、この一言で僕の心はいっきに冷めて、というか警報を鳴らし始めたんだよな。
だって僕はこんな人たちの中で生き抜いてきたんだから。
危険察知能力は人の5倍はついてたと思うんだよね。


「そっか……」
「はい。」


笑顔の周から顔をそらして『一緒に……』とかいう短冊を捨てようとした僕は間違っていただろうか。

いや、人間生き残りをかけた戦いなんだ。
こんなお母さんに似そうな不安要素なんて……。




「イアン、イアンってば。」
顔を上げると


「周っ。」
「様をつけて下さい。又はさん。呼び捨てなんて不愉快です。」


みなさ〜ん。人って恐いですよ。
こんなに変わるんですよ。アハっ。


「返事をしないから、もう決めちゃいました。」
「何を……」


嫌な予感アリ。寒気のオプション付き!

「私の実験の実験体です。
明後日、成功すれば下校中にビルの屋上から鉄筋があなたまで3oってギリギリのところにおちてきます。」
「やっ、3oって失敗したら死ぬし」


ヤバイですよーー。死活問題ですよーーーー。


「大丈夫。ヘルメットかぶれば。」
「おば様そんなにヘルメットは硬くありませんよ。」
「あっ、そっか。」


漫才しないで下さい。マジですよコッチは。


「まぁ私を信じて下さい。」


とりあえず
     2日後命の危機アリ。



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