3似た者同士(朝月)


さっきからあちらが煩い。


……そしてこちらも煩い。


「詰まんないっ!何かすることない!?あー暇だ、巽!」
「…何…?」
「喧嘩の相手して!理由は私が暇だから!」


……さっきから隣で文月が苛められている気がする。
てか文月が死にかけている。


「暇だなあ、やっぱり翔ちゃんがいないと……?」
織川の視線が止まった。


視線の先には、
   メイドが居た。


「お、織川!?お前、メイドフェチだったのか!?」
「はぁ?メイドフェチって何。私はあの女と喧嘩がしたいんだ。
……強そうだし。朝月。」
「何?」
「巽を預かっててくれ、私ちょっと喧嘩してくる」
「・・・は。」
そう言うと織川はぐったりとなった文月を僕に渡し、すたすたとメイドの所へ歩いて行く。
よく見ると、メイドは犬耳をつけていた。


「あのさ、そこの犬耳メイド服」
「何だ、てか俺は藍垣だ、藍垣。」
「うん、青垣、喧嘩しよう。」
「・・・は?別に良いが、本気出さしてもらうぞ」
「じゃ、私も本気出そう。赤垣、頑張ってね。」
織川の一言で幕が切って落とされた。


ふと隣を見ると見知らぬ女子が居た。
向こうも僕に気づいたようで、こちらを見た。
「紫堂アゲハです。そちらさんは……」


「朝月峰、今藍垣とかいう犬耳メイド服と闘っている織川の保護者。」
「お互い大変ですね……。いつもあの馬鹿を止める役割は私なんですよ。」
「あぁ、君は誰の助っ人?」
「やなぎちゃんです。」


エイリアンの友人にも常識人は居るらしい。


色々話をしている間に、喧嘩は終わったみたいで。
藍垣(?)と織川がボロボロになって倒れていた。
「英さんっ英さんっ起きて!」
文月が必死になって織川を揺り起こしている。


すると、
「巽っ!寝てるのに起こすなっ!私は疲れたから眠いんだっ!いやむしろ巽も寝ろ!」
その大声で藍垣も起きた。


「あー、疲れた。お前も中々に強いな。」
「麻垣、お主も中々に強いな。」
「俺は藍垣だ。……って翔ちゃんって誰だ、ってかお前はまず誰だ。」
「君は喧嘩が強いから特別に教えてあげよう、まず私は織川英様☆で、翔ちゃんというのは喧嘩友達だ。あと「い」とか「ろ」とか「は」とか「に」とか「ほ」とか…………
まあいいや、君はなかなかに強くて喧嘩のしがいがある。この死に掛けた巽とは大違いだ。」
「ふぇ?何ですか英さん」
文月が反応した。
「何でもない。とにかくまた喧嘩しよう。」
「ヘイヘイ」


どうやら意気投合してしまったようだ。
紫堂は頭をかかえて溜め息をついていた。
「あの馬鹿。」
「……。」


文化祭が中止にならないように神社に行って願掛けでもしようかな……。
と無神論者の僕は思った。



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