2王子様は住人☆(イースター島の)(僉川)




紫姉と共に峰兄の勇姿をほくそ笑んで見守っています。(現体育館内)
面白いですねこの劇。明らかに峰兄戸惑ってますが。
誰かの掛け声(「キース!キース!」)につられてか何だか、観客も一緒になって叫んでいます。


あ、峰兄が何か取り出した。
……スケッチブック?
何か書いてますけど……え、まさか。
“記す”とかいう駄


『朝月君。まさか“記す”とか云う訳ではありませんよね?』
峰兄の動きが止まった。
……まさかのまさかですか峰兄!?寒いですよ!?あのケニア先生と同じ位寒いですよ!?


『早くお姫様を“喜す”させてあげたらいかがでしょうか。』
「いや別に“期す”されてはいないと思うし」
『何でですか貴方の可愛い可愛いお姫様デショウ?』
「そんな棒読み口調で言われても説得力はこれっぽっちも無いんだけど。」
『本人が“希す”したんですよ?早く“キス”して“起す”させたらいいじゃないですか。
ついでに白馬にでも“騎す”して』
「“規す”されてないんですから権利は“棄す”してもいいですよね」
『何をおっしゃっているんですか。駄目に“決す”ですよ。
あぁ、もしかして舞台衣装を“着す”したいのですか?今なら昨日のシンデレラ王子様用衣装がありますけど。』
「遠慮します。」


峰兄は「はぁ。」と体育館中に響き渡るようにな大きな溜息を吐くと、

「そこの裏切り者もとい柏原。さっきまで君が被っていたものを投げてくれないか」
その言葉に答えたのか、観客席から何か投げられた。
それが何か分かった瞬間、観客席がざわめく。
それは、


   ……モアイだった。
しかもやけに汚れて襤褸々々(ボロボロ)である。
峰兄はモアイの頭を5秒間見つめあって、モアイの口をハンカチで拭いた。
そしてあろうことか、頭に被った。
………ん゛?(冂君も流石に驚いた様です。)
まさか。……まさか。
峰兄はモアイ(頭部)を被ったままお姫様役に近づいて、

キスをした。(注:モアイが)というかぶつかった。
そしてお姫様が目を覚ます。

「はうっ!?」
痛みが驚きか、はたまた恐怖か何なのか。
お姫様役が跳ね起きた。
モアイ(中の人:峰兄)はお姫様と頭突きする。


「うがっ!?」「はうっ!?」
二人の悲鳴(痛みからである)が静まり返った体育館に響き渡る。
先にお姫様が正気に返った。
発した言葉は、
「モ……モアイ……なのですか?」
頭を押さえてジタバタしていたモアイはその声を聞いて正気にかえる。
モアイはすっくと立ち上がるとお姫様を見て、
「どうも、モアイです」と名乗った。
ポカーーーーンとするお姫様(+観客)。
モアイはスタスタと舞台を去ろうとする。


『モアイこと朝月君、何をしているのですか?早くラブコメ展開をお(ry』
「王子様ぁッ!?」
お姫様はぴょこんと(というか物凄い勢いで)立った。
「王子様っそのモアイを今直ぐすばっと外して此処に来て下さい今直ぐにですよぅっ!」
「君今“今すぐ”って2回言ったけど文法的に(ry」
「そんなささいなことはどうでもいいのですっ!」
『そうですよ朝月峰君。本当に“イアン以下”になりたいのですか?』




また照明が揺れた。
『いいんですか、朝月君。』
「…究極の選択ですね。」
とうとう照明が消えた。



「…まぁ、僕には別段不利益はありませんよね。」
峰兄はモアイの頭を外すと、ポスっとお姫様の頭に被せた。


「は、はうっ!?何ですかこの薄汚いダンボール的なものは!?」
慌てるお姫様。
峰兄は律義に「モアイです」と返すと、スタスタと足早に舞台を降りて体育館を出て行った。

ポカーーーーン持続中の観客。
紫姉がボソッと
「あのチキン。」と言った。
……紫姉、僕もそう思います。




……さて、今の劇のビデオは誰がいくら出して買ってくれるでしょうか。




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