1午後のエイリアンin舞台観賞




昔々、あるところに、シンデレラと呼ばれる女の子がいました。
再婚した父が亡くなった今、彼女は継母と2人の継姉と住んでいました。
彼女は1人血がつながっていないため、継姉たちにイジめられる……こともなく、
割と幸せに住んでいました。


『シンデレラ、シンデレラ!早くこの洋服を洗っ……』
『どうされたのですか、お姉さま方』
『すみません、やっぱ何でもありません。』




我輩、生徒会主催の劇にきたのだが………何とも斬新な劇をしてるのだ。

「雪羽、………この劇は何なのだ?」
「多分、初音ちゃん(同じ学年なので面識はある)イジめられるような子がいなかったんじゃない?」




結構幸せにくらしていたシンデレラですが、ある日お城から舞踏会への招待状がきました。
なんと、彼女いない歴18年?の王子様に嫁を見つけようと企画されたものらしいです。
国中の年頃の女性を全員集めようというぐらいですから、よほど嫁のなり手がいなかったのでしょう。
もちろん、シンデレラの継姉達にも招待状が届きました。
しかし、シンデレラの分の招待状は、お城の者の手違いで届かなかったのです。




「うわぁ………。結構無理矢理」
「そりゃそうだろうなのだ。この状況で『継姉達が無理矢理生かせなかった』はきついのだにょ。」
「まぁ、確かに。」




『ご、ごめんなさいシンデレラ。』
『大丈夫です、お姉様方。』
『本当に私達だけ行くなんて』
『えぇ、本当によいです。(手はいくらでもありますから)』
『『………。』』

招待状こそ無かったシンデレラですが、行く気マンマンです。
心の声にそれがあらわれています。
シンデレラの心の声に恐ろしくなった継姉―ズは、とっとと舞踏会に行ってしまいました。


『さてと……。』
継姉がいなくなったのを見計らったシンデレラ。肺の中に隠したあったチョークを取り出すとおもむろに魔方陣を描き始めました。何か喚び出すつもりです。
黒魔術を使って是が非でも舞踏会に行くつもりです。
なんと恐ろしいことでしょう。
ですが、王子様に会いたいあまり、急ぎすぎて魔方陣の綴りを間違ってしまったシンデレラ。
誤ってエイリアン(兄)を喚び出してしまいました。


『ポンッ!』
『えーと、取り敢えず魔法使い役のエイリアンです。』





「えっ、ちょ、松乃さんいきなり舞台真ん中登場してるんだけど。」
「多分あのくそジジイにでも協力してもらったのだにょ。彼奴、パン1個で2mのテレポートが可能だとかほざいてたのだにょ。」
「彼奴って………」
「橘紫苑」
「あぁ(あの古文教師の……)」




とりあえず魔法使い役っぽい格好で喚び出されたエイリアン(兄)でしたが、
白い、白い、とにかく白い。上から下まで真っ白です。
ハ○ング(某洗剤用品)もビックリの、驚きの白さです。


『取り敢えず招待状とか無いのもあれなんで、願い事言って下さい。』
『それならば光矢様と結婚式を……』
願い事が一足飛びになっているシンデレラです。
ですが、魔法使いは華麗にスルーすることに決めたようです。


『分かった、ドレスと馬車だな』(←華麗にスルー中)
そう言うがいなや、シンデレラの格好は豪華なドレスに早変わりしていました。
頭にはティアラ、足にはガラスの靴。
普段の漆黒オーラなど皆無の、どこから見てもお姫様な格好でした。

『12時になたら魔法がとけることになってるんでよろしく。』
『分かりました。魔法使いさん(エイリアン兄)』
『……心の声が聞こえた気がするぞ。』

用意するだけ用意した魔法使い。
颯爽と去っていき、馬車はお城へと進み始めていました。









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