10時給1200円、分給だと20円




それは、或る一言から始まった。

「そう言えば峰兄、パートナーは決まったんですか?ダンスパーティーの、」
「「………。」」
冂の何気ない(風を装った)質問に、一瞬だけ場の空気が固まった。

そして、
「峰!?踊るの?踊るわよね!?スーツとかスーツとかタキシードとか着て」
「嫌ですよ。」
姉さんが物凄く興奮した。


「私も行こうかな文化祭……スーツ×∞とかもしかしたらドレスとかチャイナ服とか……チャイナ服って良いわよねぇ……あぁ、スーツならタキシードでも廉ちゃんが持ってるから貸して貰えるでしょ。うんうん、私も行くは文化祭。」
「遠慮します。」
冂も顔が引きつっていた。
ちなみに廉さんというのは冂の姉(高1)である。
自分のパートナーについて突っ込まれないうちに、冂に刃先を向ける。

「そういえば冂は誰と踊るんだ?」
いやむしろ“踊れるのか”という、しかし返ってきたのは予想外の答えだった。
「えーと……8人位と」
「「は!?」」
場の空気が(さっきとは比べ物にならない位)固まった。


「な……お、女たらし。」
「いや違いますから。しかも女子じゃありませんから。」
「「男子なの(か)!?」」
余計悪い。


「冂ってそっち系の趣味だったのか……すまないが僕から半径50m以上離れてくれないか。」
「家に住めませんよねぇ僕っ!?」
「良いわよ冂。推奨するわ。お勧めは気弱な先生ね。」
「推奨しないでください、しかも先生を!違いますよもう。バイトですよバ・イ・ト!」
「「バイト?」」
「僕演劇部なんで役の都合とかで時々女装とかしてるんですよ。
で、この前ふと思いついたのが“報われない男子のために僕が踊ってあげます(5分100円)キャンペーン”で。」
「なかなかに、酷いし露骨だ……。」
「ほら、僕小柄だし女装似合うんですよ、すでに前払いで1200円。」
「せん……に…ひゃくえん?」


せんにひゃくえんあったらなにがかえたっけ?
…ああう○いぼう(10円)がひゃくにじゅっぽんかぁへぇ……。(現実が見えていない)



「あのね、冂。」
「何ですか紫姉、バイトはやめませんよ。」
「女装から始まるBLだってあるのよ。」
「紫姉は何でもそれに結び付けようとしないで下さい!
というか背筋伸ばして真面目な顔してそんな事言わないでください!」
「あらあんたは私に生きていくなと言うのね!?」
「死ぬんですか!?」
「死にかねないわよ!」
「マジですか!?……で、峰兄はパートナー誰なんですか結局。」
「おや何だか幻聴が聞こえた気が。」
「幻聴じゃありませんよ!……あぁ、もしかして峰兄を王子様とか呼んでいるあの少し頭のイタそうな人ですか……?」

頭がイタい、ねぇ……

「流石にそれは失礼だな冂。性格もイタいし外見もイタいぞ。」
「峰兄の方が明らかに酷いです!」
で、どうなんですか、と目を煌々させて迫る冂。
え、何その萌えキャラ、とを煌々させ(ry
僕は心の底から溜息を吐いた。


「……踊らないよ?」
「踊りなさいよ」「踊らないんですか?」
残念そうな声×2


「そんな僕を拘束して取り付けた約束なんて僕が守るわけないじゃないか!
大体言論の自由を守らない取引など警察に突き出されてしまえばいい」
「つまり、踊れないんですか。」
「別にそういう訳じゃないんだが」



「何でそんなこと言うんですか!!」
「え?」
「オチがつかないじゃないですか!」




オチなしオワタ\(^o^)/(by通行人)
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