9中等部美術教師の苦労(紅葉)


キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン
「あー、美術始めるぞ。ここは2−1?げ、撫子いんじゃねーか……」
「さっさと始めなよ、センセイ」
「うっせーな静かにしろ。あー……何しよーかな……あ、テーマ、『自由に描け』」
『えーー(合唱)』
「いいだろ、隣の人をかいてもいいし、タバコとかタバコとかたばことかtabakoとか描いていいし。」
「た、煙草しかいってないじゃないですか!!(真面目田君)」
「うっせぇそのメガネかちわっぞ。はい始めー。」


あなたも眼鏡じゃないですか!という真面目田君の丁寧なツッコミを2−1皆が美しくスルーして描き始める。
紅葉はあくびをしながら、スリッパをパコンパコンと鳴らしていて、一応見て歩いている。


「行灯センセー、何かいてもいいって、嵐とかかいていいんですかぁ?」
「おk、おk。どうせ評価5にしてやっから。」
「キャー!」
だるそうにひらひら手をふりながら見回る。


〜20分経過〜
「行灯先生!どうですか?」
「はい、いいよ。好きにしろ、オレはもう寝…あー、次もあるんだった。」
「先生、先生!!」
「…えーと、…ツインテールなんだ?」
「水林ですぅ!!」
プクゥ、と頬をふくらませて紅葉を見上げる水林。


「あのっあのっ、…描いてみたんですけど、…お花畑。」
モジモジと目をそらし、愛らしくさしだした手に握られてる絵。
「おぉ、見せてみっ………」
ろ、とは言えず、紅葉はピキッと固まった。
「………これは、地獄絵図か?」
オオォ、と呪いの声がきこえそうな、グツグツ煮えてる赤黒い鍋。
渦巻く背景には、世にもおそろしい悪魔の顔。
鍋に浮いてるのは、・・・・人骨か、否それ以外の…。


「もぉ、先生ったら、冗談がお上手なのですぅっ!」
ニコニコとかわいらしく笑う少女を見ながら、紅葉は首鈴を冷たい汗が伝い落ちるのを感じた。


「……AH−、Yeah.。いいんじゃないかHAHAHA☆。」
「本当ですか!?」


「…紅葉、顔が引きつってるよ。後目反らしすぎ。」
「ユキトー、見てください!!これ、王子様なんですよっ!!」
「へぇ、君はその恐ろしい顔のサタン様とでも結ばれたいのかい。」
「もう、ユキトーはいじわるなのですよ!あぅあぅ〜」
(…………本人、自覚なしか…)



キーンコーンカーンコーン
「えー、こんにちは、オレ死にそうです。3−2のみなさん、テキトーに何かかいてください。」
『えー(←当然の反応)』
「うるせぇー!!オレ疲れた!!次もあるの!!オレ様のいう事をきけー!!」
「うわ、暴君。」
「何かいったかそこ(ギロッ)」
「いえ何も」
「先生!」
「何だそこのノッポ野郎。」
「恋人のっ……死んでしまった、恋人の……遺影を、かいていいですか(涙キラリ)」
「どーぞ、ご自由に。ってか死んだのか。」
「俺は・・・殺す気はなかったんだ…
先生!!空から光に包まれて舞い降りてくるポテッ……恋人を描いていいですか!?」
「……どうぞ。」
「影賀、我輩は何を描けばいいのだ?」
「……(もくもく。もくもく。)」
「うぉぉ、影賀!!?お前・・・すごいのだ!コッペパンのリアルさが…においが漂ってくるのだ!!」



キーンコーンカーンコーン
「あれ、今日美術自習なのかな?」
「先生は今日、体調が悪いらしい。……というかあいつと同じ名字ってまさか……」
「じゃあうなギーと会ってこよう!うーなギーー!!」
「俺は屋上に行って寝るか。」



紅葉、脱落。


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