1桜の木の下には(柊)


『今こそ俺は、あの桜の樹の下で酒宴をひらいている村人たちと同じ権利で、花見の酒がのめそうな気がする。』
引用元:梶井基次郎 『桜の樹の下には』


「きれいだなー、桜。」
「きれいだねー。」


IN、高等部インセタリウム。
先日の生徒会入りの件について返事を出しに行った後、寄ってみた。
すでに影賀がいた。


ちなみにだが生徒会入りの件については了承した。
『会計』ということになるらしい。腕章とバッジをもらった。
いや、まあそれはいいんだが……。


帳簿に出所不明の金がありそうなのが恐ろしいんだ、うん。
っと、それはまあ置いといてだ。
俺らはインセタリウムの一角、桜の木の下で寝ころんでいた。


「桜の木を見てると日本人の心がわかるきがする。なごむ。」
「うん……。そう……だ……ね……。」
影賀はすでにうつらうつらしている。
その気持ちはわかるけど。


個人的には桜はすごく好きだ。
きれいだし、『桜の木の下には死体が埋まっている』というのも含めてだ。
以前父さんにそういったら、
「本当にあなた方(母親、松乃、やなぎ)はの感覚は……」とため息つかれた。
変わっている自覚ぐらいはありますよ。父さん。


そういえば俺の家では結構日本行事をやっていたが、花見はやったことはなかった。


……やろうかな、花見。(手作りお重持って。やなぎさそって。)



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