1宣戦協定の月曜日(工藤)


はぁ、文化(歓迎)祭も終わり、また月曜日が来てしまいました。
『Blue Monday』という言葉は的確な言葉ですね。
事実、今正直ダルいと思っていますし、行事後だからでしょうか。
なんというか心にいいようのない空虚感があるのですよね。


ところで、また重要な行事が明後日あるのです。
その名は『水曜なのに日曜参観。』
あいかわらず、私のまわりにはネーミングセンスのない人や物ばかりです。
なんか、今回はツッこむ気もしません。


我が校では参観は学年ごとに違う日にあるのです。
なんでも兄弟がこの学校にいる人が多いからなんだからとか。


今年度は 1年 金曜日 2年 水曜日 3年 木曜日、
という微妙な組み合わせ。
クジで決めているらしいのでそれはそうでしょう。


当然2年生が参観の時、1年・3年は授業なのですが、
「はぅぅ、王子様の授業態度……見逃すわけにはいきません。」
「いや、無理ですから。」
という会話をしました。
きっとあの人なら来るでしょうね。


で、です。
私は今回両親が仕事でこられません。
こんなことがハツにばれたら、
「周ちゃんのピンチ、ハツがお姉ちゃんになってあげる。」
なんて1オクターブ高い声でひっつかれて……寒気がします。


去年、私がハツの参観に無理矢理つれていかれたことがありますが、
その日は日曜で国語の作文の発表だったんですよ。
「愛しき周ちゃんの趣味『黒魔術』」だったんですよ。
作文用紙25枚にわたって長々と、前半は私について、後半は生々しい表現付きの黒魔術についてクラスで発表して。
クラス中から白い目で見られたのですよ。
人格破綻者みたいにっ。


あれ以来、私の最大の恐怖は参観日になりました。
そのハツが私のクラスになんてきたら……
それこそクラスにはいられなくなります。


「2日間の勝負ですね。」
幸い、ハツは今何がしたいのかは知りませんけれど学校を休んでいます。
この情報も知らないはず。
おもわずガッツポーズをしてしまいました。


「にょっ。」
「あら、柊さんどうなさったのですか。」
久しぶりのような気がします、エイリアン。


「それがなのだ、今度の日曜参観に柊の兄貴が来てしまいそうなのだ。」
「それのどこがいけないのですか?」
「あれは極度のシスコンなのだ。
 あんな奴がきたら、どうなるのか分かったものじゃないのだにょ。」


気がつけばエイリアンの手を握っていました。
「柊さん。」
「にょっ」
「私、今まであなたのことただのアホなエイリアンだと少しだけ思っていました。」
「し、失礼だにょ!」
「えぇ、謝ります。けど今知りました。
 こんなに同じ悩みを持っているなんて。」
「くっ、工藤――――――!」


気がつけば抱き合っていました。
あれ、エイリアンは私の事情を知っているのでしょうか。


「お互いがんばりましょう。」
「にょ〜〜〜〜〜〜〜!」


まぁ、そんなことはいいのです。
宣戦協定、ここに成立。






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